子どもの頃の思い出 見世物小屋 ヘビ女

ペンペンナカジマ

幼い頃、私はばあちゃんに連れられて

よく防府天満宮のお祭りへ行った。

 

私が3才の時に両親が離婚して その後母が再婚したため

私は祖父母に育てられた。

仕事で普段かまってられないためか、休日になると 

ばあちゃんは私をよく連れ歩いた。

 

私は、お祭りが大好きで

小遣いを握りしめ 

電球の下で照らされている屋台のオモチャとかお菓子とか

夢心地で 嬉々として見歩ていた。

小さい夜市や祭りも好きだが

防府天満宮のお祭りは特別だった。

特に規模が大きくて、 

今より、ずっと人が多くて賑やかだった。

 

ばあーちゃんに手を引かれ

人にギュウギュウ押されながら商店街を抜けると

天満宮の大きな石段が見える。

子どもだったので上がるのにちょっと苦労した覚えがある。

なにせ広い境内で 子どもには迷路のように見えた。

サーカス小屋のようにあちこちに曲芸がでて 

その間を屋台がひしめいている。

バイクの曲芸は、迫力があったのを覚えている。

鉄柵の球体の中でバイクを走らせる。

円の中で段々スピードを上げていき

最後に上下逆さまになりながら

グルグルとバイクが轟音とともに走り回るのだ。

 

その横で見世物小屋があった。

オドロオドロした色彩の大きな看板が小屋の上に掛けてある。

夜の帳に電球が妖しく看板を照らし出していた。

 

他の看板はよく覚えていないが、ヘビ女だけはよく覚えている。

顔が女の人だが舌がヘビのように2つに割れていて

下半身がヘビである。

子どもにはトラウマである。

 

小屋の一段上で口上師が、

「親の因果が子に報い〜」とお馴染みの口上を朗々と述べている。

その横に幕が掛けられた柵の箱があり

棒のようなもので口上師が

「ちょっとだけだよ〜」とチラッと幕を持ち上げる。

中に人が居る気配がするけど全然見えない。

「後は中に入ってからのお楽しみ〜、さあさあ・・・」と客を促す。

今思えば、なかなか、うまいやり方である。

「怖いけど見たい・・・。」ナオミちゃんは思うのである。

好奇心が勝って ばあちゃんと入ると

すでに中はギュウギュウの人混み。

ステージの中央を司会のおじさんがいて、

その左右には小屋のようなものがあり幕がかかっている。

 

おじさんの紹介が終わるといよいよ幕が上がり

柵の中にはへび女が・・・。

 

しかし、看板のように下半身がヘビでないので

少しがっかりする。

 

その女の人は頭のないニワトリを掴んで

口の周りを血だらけにしながらニワトリの首を啜っている。

そこは、流石に引いた。

 

その後、(今思い出したが)口から火を吐くおじさんが出たりした・・・と思う。

曖昧である。

なぜか、ヘビ女の記憶はある。

 

電球色に照らされた妙にキラキラぬらぬらした世界。

昭和だな〜と思う。

このような世界はもう 今は見ることがない。

 

その後は、ばあちゃんにオモチャを買ってもらい

夜の暗い道をバスに乗って帰った。

 

「親の因果が子に報い・・・」って 理不尽だな。

子どもが可哀想ではないか・・・などと思ったりした。

これは、もう少し大きくなってからだが。

 

 

 

 

 

 

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Naomi Nakajima
Naomi Nakajima
イラストレーター時々絵本作家
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